「災い転じて福となす」

 今こそ日本人は智恵を!

 

加藤 康二

 

 小泉首相は意表をついた解散、衆院選挙に圧勝し、果たして悦に入っているだろうか?とんでもない。彼が本当の大政治家なら、日本の先行きを憂い、命を賭ける筈だ。少子高齢社会、2007年問題、借金大国日本は今智恵を出し合い、大きく舵を切らないとダメになってしまう。

 かつて、中東戦争のあおりを受け、第一次オイルショック(1973)で我が国は大ピンチに見舞われた。田中角栄の列島改造論で順調だった経済発展も油を絶たれ頓挫、右往左往のあげく、当時の通産大臣中曽根康弘氏は原油買い付けに世界中を飛び回っていた。まさに“油断大敵”。インフレに火がつき、翌年はマイナス成長を記録した。この後にも第二次オイルショック(1979)があったが、学習のたまものか前ほどの混乱はなかった。この二回のオイルショックは我が国にとって貴重な体験となり、ここで高度成長時代は終わった。大型倒産が相次ぎ、企業の整理統合は進行し、本来の経営を冷静に見直し、企業の体質を強くする機会となったと思う。

 この頃我が家でも家内が“ビニール袋が手に入らずゴミ処理に困っている。どうしたら?”と訴えた。“ゴミは土へ返したらいい”と私は畠に大きな穴を掘って埋めた。戦争中榛原中学生時代に培われた農作業体験が30年ぶりに蘇った。小田原勇校長(小田原秀眞副会長の祖父)は「頭脳は文明人、身体は原始人」と、農作業中心のスパルタ教育であった。太陽、土、水と共に生きる智恵、不屈の精神を叩き込まれた。逆境に耐え生き抜く術など、少年の一時期先生と巡り逢ったしあわせを思い返す。これが我が家の家庭菜園のはじまりである。その後も土いじりは習い性となり、野菜は殆ど自給自足、患者さんが待ち時間に畠の手入れをしてくれたり、農家の嫁さんの職員も私のところから野菜を運ぶ始末、オイルショックのお陰で、新たな人間関係ができ、土も生き返った。

 さて、最近の原油価額の高騰に世界中が翻弄されている。殆どを輸入に頼っている我が国は今こそ「ピンチはチャンス」と受け止め智恵を絞る機会だ。今年の愛・地球博開催はタイムリーであった。この智恵を是非生かしてしてもらいたい。

 アメリカでのハリケーン「カトリーナ」「リタ」の被害報道を見て、これが世界一豊かな国の出来事かと疑いたくなる。石油文明に毒されている人間の弱さ、市場主義の生む貧富格差、一国主義の国アメリカの内部矛盾を垣間見た気がする。

 今回の大型ハリケーンに襲われたアメリカの救援活動のつまずき、暴行や略奪といった混乱までさらした。世界はアメリカに対して冷ややかな反応を示している。特に「ならず者」呼ばわりされてきたイランは、この時とばかり報復発言をしている。「世界の資源をひとりじめするために、自分の巣をなおざりにした」「アメリカ流『民主主義』は略奪やレイプをも生み出した」「イラク戦争とカトリーナ戦争で連敗を喫した」「弱者切り捨てのアメリカ政府」「ブッシュ政権のネオコン政策、弱者切り捨てのつけが、救援の遅れにつながった」「銃を持って被災者救出に向かう異常社会の国」など。

 ロシア新聞も「富裕層は自家用機で、中産階級は自家用車で脱出したが、最も貧しい人たちはバスが足りず、家畜並みに見捨てられた」と。

 中国(香港)新聞「人権保護を口実に他国に干渉するアメリカ政府が自国民の生きる権利すら守れない」「アメリカ超大国には戦車はあるが避難用バスがない」など。

 振り返ってみると、エネルギー問題は産業革命で石炭、石油が重要となり、第一次世界大戦以後から、世界の石油争奪戦が始まったと思う。勝ち組はアメリカ、イギリス、オランダなど、負け組は日独伊三国。これが第二次世界大戦へと発展したと見る。今回の原油価額高騰はいろいろの要因があろうがアメリカ・ネオコンが大きく関与していることは間違いない。世界は智恵を絞ってこれに対処すべきである。我が国にとって73,79年のオイルショックはいわば急性肺炎で化学療法により救われた。しかし発展途上国の消費量がふえた今回は違う。アメリカ、中国の間に喘いでいる日本はC型慢性肝炎に罹患してしまった。いま手を打たなければ予後不良。

 原油価額高騰の今こそ、省エネを真剣に考えるとき。環境問題にも貢献する。地球を汚して反省なく、京都議定書に不参加の国、石油世界支配を進める一国主義の国アメリカ。この世に神が存在するなら許されるはずがない。ますます神の怒り「イスラムテロ」「エルニーニョ」()の報復が続くことであろう。

 

(注)

ハリケーンが増えた原因は、南太平洋での「エルニーニョ」の発生、地球温暖化、森林破壊などの原因が指摘されている。